こんにちは、Suiです。

今回は前回の続きで、ユーザベース分析の後編になります。

<全体の流れ>

1. ユーザベースの全体像(事業ポートフォリオ)を把握する=前編

2. 各事業セグメントの売上・利益、KPIなどの数字を整理する=中編

3. 直近決算(2020.12期2Q)で進捗を確認=後編

後編では2020年8月13日に発表された2Q決算を詳しく見ていきます。

決算の内容を見る前に、まず前編・中編でのポイントを簡単に振り返りたいと思います。

前編ではユーザベースが4つのセグメントから構成されており、利益を生み出す黒字事業(SPEEDA事業、NewsPicks事業)と投資フェーズである赤字事業(Quartz事業、その他BtoB事業)に分別できる点や、全体業績を見ると同時に各セグメントの売上・利益をチェックする必要性について確認しました。

中編では、各セグメントについて細かく見てきましたが、収益構造としては①広告売上、②サブスク型の有料課金売上、の2つに分けられることが分かりました。また、今後は広告売上が新型コロナの影響を受けるリスク、有料課金売上では重要KPIであるMRRが重要である点を確認しました。

これらを踏まえた上で、2Q決算を見ていきたいと思います。

このように過去の決算やビジネスモデルを分析して、どこが今後の重要ポイントなのか今後考えられるリスクは何か、などを把握してから決算をチェックすると理解が深まると思いますので、ぜひ試してみてください。

■2020年12月期 第2四半期決算説明資料

■2Q決算説明会 書き起こし+Q&A
コロナ下でSPEEDA・NewsPicks好調の理由、Quartz黒字化への道筋などについて回答(全35問)

決算で確認する際におすすめの順番としては、(1)連結業績の確認(2)各セグメントの確認になります。

(1)連結業績の確認

まずは連結業績の確認です。資料の13ページに記載があり、2Qの実績値は売上63.5億円、EBITDA-1.0億円となりました。

図表1

決算を確認する上での注意点ですが、基本的には決算短信や説明会資料では累計の数字で表示されることがほとんどです。

例えば、今回の2Q決算であれば、1~6月の6カ月間の売上、利益の数字になります。

そのため、純粋な2Qのみ(4~6月の3カ月間)の数字を見る場合には別途計算する必要が出てきます。説明会資料では会社によって3カ月間の2Q単体の数字を計算して掲載している場合もあるので、累計なのか単体なのかは確認が必要です。

1Q決算と2Q決算から2Q単体を整理したものが図表2で、2Q単体では売上31.8億円、利益は-0.6億円となっています。

図表2

これまでの記事で見てきたように、まずは売上と利益の成長からチェックしていきます。

売上と利益の成長率を昨年と比較すると、前期(2019.12月期)から売上の成長率が鈍化(2Q累計:85.0%→12.2%)したように見えますが、これは鈍化ではなく前期にQuartzの買収効果が含まれる影響です。2019.12期では売上が大きく成長した(2019.12期1Q:売上+91.9%)ように見えますが、買収による特殊要因なので注意が必要です。図表3は買収直後の2019年12月期1Qの資料ですが、買収効果を除いた実質ベースでは+49%となりますので、M&Aが連結売上に寄与する場合は注意が必要です。また、前期の利益成長がマイナス(2Q累計-262.5%)になっているのも同様の理由です。

図表3 2019年12月期 1Q決算説明資料

昨年との比較については、上記のとおりM&Aによる影響で単純な比較が難しいですが、今期で1Qと2Qの比較(QonQでの比較)をしてみると、売上・利益の成長率ともに大きく変化していないので、順調だったと言えるでしょう。

(2)各セグメント業績の確認

次は各セグメントを見ていきます。p.12の業績サマリーで各セグメントの結果が簡潔にまとまっています。

図表4

まずは黒字事業のSPEEDA事業、NewsPicks事業(以下、NP事業)を見ていきます。

連結業績と同様に2Q累計と2Q単体における売上と利益の成長率を確認します。

売上成長は昨年から変わらず+20%超と堅調です。利益成長は+70%台から+20%台と低下しているように見えますが、金額ベースで考えると2.3億円→4.1億円→5.3億円で安定成長している(同じ金額なので比率で見ると低下していく)ので何か問題があったわけでは無いと考えられます。また、利益率を見ても39%台と安定しているので順調と言えるでしょう。

図表5

次はNP事業です。

売上成長については2Q累計で+30%超と順調に伸びています。利益については2Q単体を計算してみると実はマイナスということが分かります。これは資料の30ページに記載されているようにマーケティングコストが要因と考えられます。

また、昨年通期では3.8億円の利益なので、下期(3Q+4Q)に利益が偏重する季節性がありそうです。3Q、4QではNP事業の利益がしっかりと出せているかは確認が必要になってきます。セグメント別の通期予想は出ていませんが、前期4QでのNP事業の利益は3.8億円なので、減益にならない水準として残り3億円の利益を下期で創出しなければいけません。3Q決算でこの進捗を確認して達成確度は確認したいところです。

図表6

次は投資フェーズにある赤字事業(Quartz事業、その他BtoB事業)を見ていきます。まずはQuartz事業です。

前回の記事では、Quartz事業の今後の確認ポイントとして広告売上の減少リスクを挙げていました。

2Q累計の売上は-57.5%で、1Q、2Qと連続で減収となりました。この要因は広告売上が新型コロナによる影響で大きく減少したことによるものです。1Qの資料でも言及されていますが、2Qでも状況は変わらず広告に関しては厳しい状況が続いているようです。

一方で、利益に関しては赤字幅が縮小しています。2Q単体では1Q単体よりも赤字幅が縮小しており、説明にもある通り固定費削減の効果が出ています。今後のポイントとしては、資料の29ページにあるリストラ効果が3Q以降に出てくるので赤字幅がどの程度縮まるのかは確認が必要になります。また、①広告売上の回復があるか②有料課金売上が増加するか、にも今後注目していきたいところです。

図表7

その他BtoB事業(図表8)については、売上・利益の金額はまだ小さいですが、順調に成長している点に加えて2Q時点で黒字化できています。今後のマーケティング次第ではありますが、Quartz事業よりも早く連結業績で黒字貢献ができるかもしれません。

図表8

最後にセグメント別の業績と全体の連結業績との関係を確認したいと思います。具体的にはどのセグメントが全体の売上・利益増加に貢献したかを確認します。

まず図表2で、2Q累計の売上を見ると、連結業績では+6.9億円の増収で、Quartz事業の-7.3億円をSPEEDA事業(+4.9億円)とNP事業(+6.3億円)、その他BtoB事業(+3億円)の増収でカバーしています。

次に利益の増減を見ていきます。2Q累計の利益増加は+4.2億円です。この4.2億円がどのセグメントから来ているのかを見ると、SPEEDA事業+2.2億円、Quartz事業+2.2億円が主な増益要因になっています。各セグメントの増減については先ほど見てきた通りですが、SPEEDA事業については安定的な利益成長、Quartz事業ではコスト削減による赤字幅縮小が要因です。

今回の説明では最後に書きましたが、通常の分析ではまずこの増減の要因分析を最初に確認してから、各セグメントでその原因は何かをチェックしていくとスムーズに決算の分析ができると思います。

今回のポイント、今後の確認ポイントを整理すると、以下の通りです。

今回のポイント

  • 2Q累計、単体ともに増収増益
  • 増収要因はQuartz事業の減収を3事業の増収でカバー
  • 増益要因はSPEEDA事業の安定成長、Quartz事業のコスト削減による赤字縮小
  • その他BtoB事業が早くも黒字化

今後の確認ポイント

NP事業

  • 下期の利益創出

Quartz事業

  • 広告売上の回復
  • 有料課金売上の増加=MRRの増加
  • リストラ効果による赤字縮小

参考資料・リファレンス

2020年12月期 第2四半期決算説明資料

2Q決算説明会 書き起こし+Q&A
コロナ下でSPEEDA・NewsPicks好調の理由、Quartz黒字化への道筋などについて回答(全35問)

2020年12月期 第1四半期決算説明資料

2019年12月期 決算説明資料


ALTalkに登録してユーザベースのオルタナティブデータを見る

→ https://altalk.ai/