新型コロナウイルスの影響で日本における家計の消費支出は前年同月比でマイナスの伸びが続いています。しかし、8月7日に総務省が発表した6月分の「家計調査」によれば、二人以上の世帯(季節調整値)の実質消費支出は前年同月比+13.0%と非常に大きな伸びとなりました。

この大きな伸びは新型コロナウイルスの問題が落ち着いたからではなく、定額給付金が振り込まれたことや、キャッシュレス決済に伴うポイント還元キャンペーンが6月末に終了することによる一定の駆け込み需要があったからだと考えられます。

4月を底に消費の回復傾向は維持されている

 東京都内を中心に7月以降は新規感染者数は増加し、第二波を懸念する声を耳にする機会が増えてきました。6月は前述の通り特殊要因があって大きな伸びとなっているため、7月の消費をどう予想するかが難しくなっています。

そこで、オルタナティブデータを活用して先読みをしていきましょう。株式会社ジェーシービー(以下:JCB)と株式会社ナウキャスト(以下:ナウキャスト)は、匿名加工されたJCBのクレジットカードの取引データを活用して、現金も含むすべての消費動向を捉える国内消費動向指数「JCB消費NOW」を提供しています。

まず、消費全体の総合指数を見てみると、2月からマイナスの伸びになった消費は4月を底に反転して回復傾向にあることが分かりますが、7月は6月からわずかではありますが引き続き回復するという結果になっています。

サービスへの消費支出は依然として弱い

 しかし、消費と一言で言っても、消費対象が何かによって、見えてくる景色は違います。4月を底に消費が回復しているといっても、主に小売(財)への消費は強い一方で、サービスへの消費は回復傾向にあるものの依然として前年同月比でマイナスの伸びとなっています。

これは、総務省統計局が7月31日に発表した5月分の「サービス産業動向調査」の結果とも整合性があります。サービス産業の5月の売上高は、前年同月比で-22.9%の23.5兆円となっており、4か月連続の減少となっています。

新型コロナウイルスの影響でサービス産業は自主的に営業をしていない企業もあれば、家計が自主的に利用を自粛していることもあり、今後も厳しい状況が予想されます。

一方で、小売(財)に関しては、自粛期間中に溜まっていたストレスを発散すべく高額商品などを買う「リベンジ消費」の対象となることや、定額給付金というまとまった臨時収入による購買の対象となりやすいことから、サービスへの消費とは反対の結果になっているのでしょう。

巣篭り消費はコロナを追い風にした

 新型コロナウイルスの影響といえば、巣篭り消費も気になるところです。JCB消費NOWでは細かい消費品目まで確認できますが、巣篭り消費の代表格といえば「EC」と動画配信などの「コンテンツ配信」でしょう。

新型コロナウイルスの影響が大きくなるにつれて、両品目とも消費が伸びているのが確認できますが、ECの場合は一人当たりの消費金額が増えているのに対して、コンテンツ配信は消費者数の伸びが全体をけん引したという違いがあります。

ECは既に日本では普及しており、これまで外出して買っていたものをECで買う人が増えた一方で、コンテンツ配信は今回の新型コロナウイルスの件を契機として初めて利用する人が増えたという仮説が立てられます。

 また、ECが5月をピークに6月、7月と伸び率が鈍化しつつあるのに対して、コンテンツ配信は7月になって再び伸び率が加速しています。

これは、5月下旬に非常事態宣言が解除されたことで、ECでの買い物需要が一部実店舗へ移った一方で、映画館は依然として3蜜の環境が嫌気されることもあり、動画コンテンツはそのままネットで鑑賞するという傾向が続いたという仮説が立てられます。

JCB消費NOWには、ECについてのみ更に細かい内訳(衣服、化粧品、飲食料品など)も公開されているため、今後はECの内訳なども見て、細かい消費動向の先読みをしていこうと思います。


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