日経平均株価が3万円を約30年ぶりに超えて、日本を含めて世界もますます活況を呈する株式市場。「日経平均株価は4万円台にまで上がる」という声も上がるなか、この上昇の流れはいつまで続くのか?そして、どのような投資を心がけ、どんな銘柄を選ぶべきなのかを解説します。

目次

  1. コロナ禍以前・途中・現在の日経平均の値動き
  2. 強気相場はいつまで続くのか?
  3. 急落する場合、その急落リスク要因とは?
  4. 今後の投資方法と注目の業界

1.コロナ禍以前・途中・現在の日経平均の値動き

日経平均株価は、2021年2月15日に3万円の大台を回復しました。これは1990年8月2日以来、実に30年8カ月ぶりのことです。世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の渦中での大台回復には、金融緩和やコロナ後を見据えた動きが背景にあります。

新型コロナが中国で話題になり始めた直前の2020年2月初旬の日経平均は、2万4,000円手前の水準で推移していました。その後、世界的にコロナがまん延するにつれて株価も急落し、同年3月には1万6,358円まで売り込まれます。1カ月半で約32%も下落し、暴落ともいえる状況でした。ただ、その後は米国をはじめとする世界的な金融緩和や財政政策などを背景に、株価は戻りに転じています。

2.強気相場はいつまで続くのか?

2021年3月以降の上昇過程では、コロナ禍の影響を受けた実体経済と上昇する株価との乖離が指摘されてきました。金融緩和による金余りが株価の刺激要因で、ややバブル的な動きと見る向きも少なくありません。

しかし、1月下旬から2月中旬にかけて公表された第3四半期(2020年4月~12月)の決算発表が好調を背景に、このような懸念については後退しています。日経平均算出元である日本経済新聞によると、決算発表前の1月下旬までの日経平均の1株利益は、1,100円を下回る状況でした。

1株利益に対して株価が何倍に買われているかを示すPER(株価収益率)は27倍前後となっています。決算発表が進むにつれて1株利益は増加し、1,340円程度まで上昇しています。これは、2020年10月~11月期の企業業績が製造業を中心に想定以上に好調だったことが要因となっています。

日経平均が3万円まで上昇しても、PERは22倍とむしろ低下してきています。PER 22倍は米S&P500とほぼ同水準。割安とは言いにくいレベルですが、割高感は急速に薄れてきています。

今後の最大の注目ポイントは、4月下旬から始まる2021年3月期本決算。2021年3月期の経常利益は回復しつつあるとはいえ、全産業ベースでは前期比20%減益程度と見込まれています。コロナの影響が緩和されると見られている2022年3月期には、大幅な増益に転じるとの予想があります。

大手調査機関によれば、2021年3月期に同4%減益まで回復し、2022年3月期は前期比約30%増益になると試算しています。自動車や鉄鋼、商社などの各業界がこれをけん引すると見ているようです。

新型コロナ感染拡大直前の日経平均の予想1株利益は、1,700円前後で推移していました。当時は2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられた影響などで、企業業績はコロナ以前の2020年3月期に減益で、PERにプレミアムを付けることが難しい状況です。

2022年3月期は3期ぶりの大幅増益予想になると見られ、PERは高めに評価することが可能となります。仮に2022年3月の予想1株利益が1,700円まで戻るとすれば、日経平均3万円としてPERは17.6倍まで低下します。PER 18倍で3万600円、19倍で3万2,300円、PER 20倍の日経平均は3万4,000円も許容できる可能性はあります。

3.急落する場合、その急落リスク要因とは?

市場で最も警戒されているのが、米国での長期金利の上昇。2021年2月25日に米10年債利回りが一時1.6%台に乗ったことをきっかけに、米国株式は大幅安になりました。それまでは徐々に上昇していたものの、1.5%以下で比較的落ち着いていた経緯があります。

米での1.9兆ドルの追加経済対策が決まり、新型コロナに対してもワクチン接種が進むなどで、今後は経済回復が加速するとの見方が浮上しています。これ自体は好材料ともいえるでしょう。

一方、市場が気に掛けているのはFRB(米連邦準備理事会)が資産買い入れの圧縮などで金融緩和策を後退させること。また、経済の過熱でインフレになる可能性も指摘されています。ジェローム・パウエルFRB議長は、雇用などは期待に達していないとし、金融緩和の長期化を示唆し続けています。それにもかかわらず、金利が上昇しているのは「緩和の先」を読み始めているともいえるでしょう。

また、金利の上昇は債券の魅力が高まることを意味しており、債券買い・株売りというリスクオフの動きになることが見込まれます。金利上昇そのものが景気回復に水を差すとの見方もあります。

ただ、米10年債利回り1.6%というのはコロナ禍以前に戻ったレベルで、過熱と呼ぶのは早過ぎる感もあります。資金の流れに変化が出るのは長期債利回り2%なのか、あるいはそれ以上なのか。金利に対しては、神経質な動きが続きそうです。

中期的には、バイデン政権のかじ取りに注目です。バイデン大統領は当選以前から、財政支出の財源は富裕層からの増税で賄うと公言しています。現在は非常事態だが、正常になれば所得増税や株式などキャピタルゲイン(売却益)課税の強化に踏み切る公算が大きい。

また先日、米政権の競争問題担当として、巨大ハイテク企業の支配状態に警告を発しているコロンビア大学のティム・ウー教授の起用を発表しましたが、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)への締め付け策が出る可能性もあります。また新型コロナについては、変異ウイルスの感染再拡大なども要注意といえるでしょう。

4.今後の投資方法と注目の業界

市場では「グロース株」(成長株)と「バリュー株」(割安株)を相互に物色する流れとなっています。基本的には、この流れが継続すると予想します。コロナ禍でテレワークが定着し、高速・大容量に加えて、多接続、低遅延などをうたう第5世代移動通信システム「5G」の商用サービス拡大などで通信量が増大しています。

性能の高い半導体、サーバーなどの需要が増加傾向をたどるため、関連企業の業績は順調に推移しています。一方、アフターコロナをにらみ、これまで相場の圏外にあった空運、鉄道、外食、観光関連などを見直す動きも出始めているようです。

また、世界的な景気回復を視野に入れ、船の運賃や、銅やアルミなどの非鉄金属や原油価格も上昇傾向にありますが、これらの関連企業も価格値上がりの恩恵を受けると見られます。2022年3月期の業績をチェックし、業績拡大、回復銘柄をピックアップする局面といえそうです。

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