コロナ禍によって伸びている企業があります。このモメンタムはいつまで続くのか。アフターコロナでもモメンタムを維持し続けるのか。コロナで恩恵を受けた代表的な銘柄をピックアップし、最新決算を確認しながら、今後の成長性を考察します。

目次

  1. コロナ禍ではどのような業界が伸びたのか
  2. 「BASE」、「弁護士ドットコム」、「出前館」の最新決算は?
  3. 「BASE」、「弁護士ドットコム」、「出前館」の今後の展開・成長性を考察
  4. ほか「EC、DX、宅配」関連銘柄のおススメを紹介

1.コロナ禍ではどのような業界が伸びたのか

まず、コロナ禍ではどのような業界が伸びたのでしょうか。ここでは、特に伸び方の良かった「ウェブ・アプリベースのコンシューマーサービス」、「DX」、「テレワーク」にターゲットを絞って整理してみます。

昨年の新型コロナウイルス感染拡大前にTOPIXが高値を付けた2020年1月20日を基準に、2020年2月以降の最高値と、2021年3月10日の各銘柄の終値との騰落率を計算してみます。

2020年春(全国)、2021年冬(主に都市部)と、2度にわたる緊急事態宣言が発令され、ステイホームのライフスタイルは、消費生活のさまざまな局面を、ウェブやスマホベースにスライドさせていく機会となりました。

最高値が2020年1月20日株価の2倍以上となった銘柄を取り上げました。なかでも目を引くのは、動画コンテンツ配信インフラを提供するJストリーム、小学生~高校生向けのデジタル学習教材を手がけるすららネット、ネットショップ大手のBASEです。BASEはこの短期間で、栄誉あるテンバガーとなりました。

2020年以前にも、働き方改革など労働者の健康と生産性向上の双方に働きかける政策が推進されていましたが、コロナ禍をきっかけに国の旗振りでデジタルシフトに注目が集まり、株式市場の一大テーマとなりました。

IT化を通じたビジネスモデルや組織の変革が求められ、特に「コスト削減圧力」と「医療現場への人流削減」要請から、医療分野におけるDXに注目が集まり、関連企業はバブル的な株価上昇を見せました。

主にホワイトカラーの職種において、テレワークにおける非効率やコミュニケーション不足解消をテーマとするSaaS銘柄も注目を集めました。これらの銘柄については、ALTalkで3月5日に公開した記事『コロナ銘柄「SaaS・EC」2月の決算発表から現状と今後を読み解く』にて分析していますのでご覧ください。

また、ステイホームを続ける消費者と外食産業への時短要請は、Uber Eatsをはじめとするデリバリーサービスへの追い風となり、出前館の株価が急上昇しました。

2.「BASE」、「弁護士ドットコム」、「出前館」の最新決算は?

次に、各業界でも注目の「BASE」、「弁護士ドットコム」、「出前館」の最新決算について見ていきます。

BASE

ネットショップ大手で2020年に業績を急拡大したBASEは、2021年2月10日に2020年12月期決算を発表しました。決算説明資料によると、当期の通期売上高は82億8,800万円で、前期比で115.3%増という好業績となりました。営業利益は8億300万円で、前年度から12億円強積み増し初の通期営業黒字を達成しました。

テレビCMやウェブマーケティング等のプロモーションを積極展開し、2020年12月にはネットショップ開設数が130万件を突破した勢いが、決算にも表れた形です。

弁護士ドットコム

ウェブベースでの弁護士・税理士向け営業支援と、一般会員向け法律相談サイト運営を手がけ、電子署名「クライドサイン」を急速育成中の弁護士ドットコムは、2021年1月25日に2021年3月期第3四半期決算を発表しました。

決算説明資料によると、当期の売上高は38億600万円で、前期比で27.1%増となりました。一方、営業利益は2億2,200万円で前年同期比2.3%減。クラウドサインが急拡大し第二の柱に育ちつつあるものの、おそらくはより利益率の大きい弁護士ドットコムの減収が響き、全体では減益となっています。

出前館

出前サービスを全国展開しUber Eatsとしのぎを削る出前館は、2020年12月24日に2021年8月期第1四半期決算を発表しました。決算説明資料によると、当期の売上高は42億2,800万円で、前年同期比で132.7%増という特筆すべき急拡大を見せました。一方、営業利益は31億9,400万円の損失で営業赤字を計上しています。

人件費や広告宣伝費の増加が足を引っ張ったとの見方が広まり、決算発表以降株価の下げ止まりが見えない状況です。中期計画で積極投資による赤字継続を公言しており、決算資料等でも営業赤字については詳細な記述を避けています。詳しくは次項で解説していきます。

3.「BASE」、「弁護士ドットコム」、「出前館」の今後の展開・成長性を考察

それでは、ここまで解説した「BASE」、「弁護士ドットコム」、「出前館」の今後の展開や成長性について考察していきます。

BASE

BASEの2020年は、ネットショップの運営・商品管理を支援する新機能を次々と提供し、既存顧客のユーティリティ改善が大いに進捗した1年でした。

その戦略は、当社の基本思想である「個人およびスモールビジネスを対象とするロングテール市場の独占」を忠実に踏襲しています。少額でもコツコツ売れていくショップで構成されるロングテール市場は、高いGMV(そのマーケットやプラットフォームで消費者が購入した商品の売上の合計額、流通取引総額)成長率や、テイクレート(ECサイト上での取引金額のうち運営企業の取り分の割合)を期待できる市場です。

BASEのビジネスモデルは、ショップの商品が売れる度に手数料が入るという仕組みであり、顧客にとっては仮に半ば休眠状態であっても、継続費用がかかるわけでもなく負担感が少ない点が特徴。個人・スモールビジネスはマンパワーが少なく、他のネットショップに移るコスト感が大規模ショップに比べて大きいため、適切な施策を継続すれば非常にロイヤリティの高い顧客層でもあります。

BtoCのEC市場はこの10年、一貫して伸び率を拡大しながら成長しています。コロナ禍の収拾に伴う一時的なダウンサイドがあっても、数年単位での成長性は固いといえます。

「短期的な利益ではなく、中長期の利益成長を目指していくための先行投資を継続」するフェーズで、2021年12月期業績予想では

●売上高   9,750百万円~10,536百万円
●営業利益  -1,433百万円~-929百万円

を見込んでいます。海外投資家を対象とした増資で調達した12,396百万円に加え、営業活動によるキャッシュフローも含め、現預金を前期比15,076百万円増加させる財務戦略の周到さも頼もしいものです。

昨年10月以降、株価は一進一退が続き直近はかなり下押ししているものの、将来性には期待が持てます。テクニカル指標も参照し適切なエントリーポイントを探りましょう。

(ALTalk「BASE」の指標より)

ALTalk指標を見てみると、アプリダウンロード数は昨年春の急上昇から徐々に低下し、コロナ以前の水準に落ち着いていますが、web訪問数は右肩上がりのトレンドを維持。顧客層である個人・スモールビジネスにおける注目度・認知度を測る意味で重要な指標です。

弁護士ドットコム

弁護士検索の際の上位表示・プロフィールの詳細表示・案件管理等業務支援のパッケージである「弁護士マーケティング支援サービス」が当社の主力サービスですが、2021年3月期に入り伸び率が急降下している点が気がかり。月額300円で法律相談ができる有料会員の売上は、昨年初頭から減少しています。すでに底打ちし昨年12月以降は純増に転じているとのことですが、引き続き推移を見守りたいところです。

クラウドサインが急速に売上を伸ばしているものの、全体では増収減益となっています。クラウドサインは拡大に応じたシステム投資が必要な段階で、おそらく利益への寄与はこれから。大企業によるビジネスプランの導入が進み、売上高は来期以降も倍速成長を見込んでいますが、利益が一気に拡大し始めるスケールを超えるまでは、投資家は我慢の時期と言えます。

株価は昨年10月以降右肩下がりとなっているものの、バリュエーションは膨れ上がっており、下げ止まりの見当をつける役には立ちません。取り組む際は、トレンドの切り返しを探り打診買いから入る慎重さが求められます。

(ALTalk「弁護士ドットコム」の指標より)

ALTalk指標を見てみると、web訪問数は下落基調。「Googleの検索アルゴリズム変更による表示順位の下落等の影響により月間サイト訪問者が減少」というコメントが経営陣より出ていますが、うまく対応して再浮上を期待したいところです。

出前館

2020年春にLINEの子会社となり、LINEがZホールディングスと統合し新生Zホールディングスの子会社となったため、出前館は実質的にソフトバンク陣営の一員に加わる形となりました。

持株会社であるソフトバンクグループは、Uber Eatsを運営するUber Technologies Inc.の株式16%を保有する大株主です。競業に強い影響力を持つ親会社に議決権の過半数を握られる形となった当社が自主自立を保つには、勝ち抜く以外の道はありません。

このことが、直近の2021年8月期第1四半期の売上高42億円に対して、「32億円という巨額の営業損失を計上してでも攻めに攻める」姿勢に影響していると考えるのは邪推でしょうか。

3月10日の「日経ビジネス」にフードデリバリービジネスに関する記事『ドコモ撤退、出前館は赤字 フードデリバリーは本当に「おいしい」か』が掲載されました。

「撤退」と取り上げられた「dデリバリー」は、表向きこそドコモのサービスですが、プラットフォームは出前館のものを使っていたといいます。「すごくもうかるわけではない一方で、マーケティングコストはかかる」事業という記事でのコメントの通り、顧客の囲い込みを目指して各社が割引クーポンを乱発、激しい陣取り合戦が繰り広げられています。

競業他社には最大のライバルUber Eats以外にも新規参入が相次ぎ、米国でシェアトップのドアダッシュも参入を予定。もはやレッドオーシャンというより血の池に近い様相です。

昨年10月に行われた2020年8月期の決算発表で中期経営計画が示され、通期営業黒字化は2023年を想定していることが明らかになりました。2022年まで投資拡大フェーズが続き、加盟店舗数拡大・ユーザー数拡大・シェアリングデリバリー(出前代行)拡大の「事業拡大の3軸」にフルスロットルで注力。フードデリバリー以外の小物物流も扱うプランもあり、デリバリー網の効率運用にも期待がかかります。

黒字化が遠い目標である現状では、加盟店舗数やユーザー数といったKPIの進捗と資金調達など財務面の双方に目配りしながら、株価のモメンタムを利用した慎重な投資が求められます。新規参入が相次ぐ段階で、Uber Eatsとの2強体制を固めようとする当社の経営方針には合理性があり、市場の大勢が決すれば利益率はたちまち改善に転じます。

株価が激しく上下動する小型株であり、一時の悪材料や金融市場の需給・経済ショックなどで株価が大きく下押しした際を待って仕込むのもよいでしょう。

(ALTalk「出前館」の指標より)

ALTalk指標を見てみると、アプリダウンロード数は3回の山を形成しつつゆるやかに右肩上がり。最初の山は昨年春の緊急事態宣言、直近の山は年頭の緊急事態宣言によるものです。昨秋の山は、クーポンキャンペーンを悪用して無限に無料飲食できる祭りがあったためで、攻めの姿勢ゆえの詰めの甘さといえるかもしれません。

4.ほか「EC、DX、宅配」関連銘柄のおススメを紹介

日本が世界における圧倒的なトップランナーと「ならざるを得ない」分野であるという点で、医療DXに注目しています。

世界に先駆けて超高齢化社会を突き進んでいる日本社会は、実際のところ団塊ジュニアが亡くなるまで医療負担が減ることはありません。病院運営・医師の働き方・薬局運営・介護との連携に至るまで、DXによる効率化・最適化は喫緊の課題であり、やり遂げた暁には世界へ輸出できる有望な商材となるでしょう。

エムスリーは海外事業にいち早く着手しており、1月29日に行われた2021年3月期第3四半期決算発表によれば、海外事業の売上高は全体の23.7%、セグメント利益は19.0%に及んでいます。日経平均採用銘柄の中でも屈指の高バリュエーション銘柄であり、当面は神経質な展開が続きそうですが、長期的には最大の有望株と考えています。

※取り上げた個別銘柄への投資を推奨する意図はありません。

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