1月に入り遂に緊急事態宣言が出てしまいました。当初は関東の1都3県が対象でしたが、執筆時点では11都府県に拡大しています。2021年も新型コロナウイルスによって社会情勢や経済環境は大きく変化してしまいそうですが、昨年1年間の行動変容を改めておさらいすることで、今後の予想にいかしましょう。今回もオルタナティブデータを用いて個人の行動変容を確認していきます。

楽しみが減ってしまった自粛期間

 株式会社ジェーシービー(以下:JCB)と株式会社ナウキャスト(以下:ナウキャスト)は、匿名加工されたJCBのクレジットカードの取引データを活用して、現金も含むすべての消費動向を捉える国内消費動向指数「JCB消費NOW」を提供しています。

このJCB消費NOWにおける「外食」、「旅行」、「映画館」、「遊園地」の4項目についての消費指数にPCR検査の陽性者数の推移と重ね合わせたものが下のグラフになります。

 「外食」、「旅行」、「映画館」、「遊園地」の4項目はコロナ前には多くの人が普通に楽しんでいた娯楽かと思いますが、昨年の緊急事態宣言が出たときは全項目が大きく減少し、その後は回復傾向にありましたが、気温が下がるにつれて陽性者数も増えていくなかで、再び減速していきました。感染拡大を抑えるべく、各自が不要不急な外出を自粛していましたが、やはりその間は楽しみが減っていってしまったことが分かります。

若者が意外と大丈夫と言う理由

 終わりが見えないコロナ禍において、自粛疲れが起きていたり、慣れが生じてしまったことによって、一部では気のゆるみなども指摘されていますが、私の周りで自粛に対してあまりストレスを感じないと答えるのは若者が多いように感じています。その理由の1つは下のグラフに表れているのかもしれません。新型コロナウイルスに揺れた1年を振り返ってみると、買い物はEC(Eコマース)で済むので外出の必要がなく、娯楽も動画配信で十分というライフスタイルに違和感がない若者はストレスが少なく済むのかもしれません。

 ここで注目すべきは動画配信などの「コンテンツ配信」の伸びの大きさです。外出しない代わりにEC経由の消費が増えるということは誰もが予想できた行動変容だと思いますが、コンテンツ配信がここまで伸びると予想していた人は多くないでしょう。この伸びがどこまで続くのかにも興味は湧きますが、コンテンツ配信自体よりも波及して恩恵を受ける業種や企業が何かという分析をするとお宝銘柄の発掘に繋がるかもしれません。

小売業界は厳しい

 さて、オンライン上の話から実際のリアル店舗に目を向けてみましょう。やはり「スーパー」、「コンビニ」、「百貨店」はいずれも年末にかけて減速傾向にあります。

 外出して買い物をすると、どうしても不特定多数の人と密な環境に一緒になることもあるため、ECで買い物をすませてしまいたいと考える人もおり、コロナの問題が収束するまでは厳しい環境が続きそうです。昨年の終わりごろからはワクチンの話も具体的に耳にするようになってきたものの、ワクチンの効果が証明され、多くの国民が摂取するのはまだまだ先の話でしょう。

 もちろん、過度に怖がりすぎると、今度は経済活動が停滞して別の問題が発生してしまうリスクもあります。実際に買い物に行けば分かる通り、店舗側も十分に感染リスクを抑える施策をとっており、私自身もなるべくお気に入りの店では買い物をしたいと思っています。しかし、連日、陽性者数が増えたと報道され、その数が日に日に増えていく様子をみてしまうと客足が遠のいてしまうというのが現場で働く人の声でもあります。

 このような逆境を打開するためには、やはりECを活用したり、店舗にいても非接触で買い物が出来るような仕組み作り、つまりDXが求められるわけですが、いち早く対応したのは意外にも外食産業でした。ファストフード店ではアプリで注文したり、ドライブスルーやデリバリーにもアプリやウェブサービスを活用しています。

コロナ禍ではECがシェアを拡大

 対面での販売がメインの小売業界は早々にDXを推進しなければ、コロナ問題が収束したとしても、元のようなビジネス規模では商売が出来ないかもしれないというデータもあります。下図は小売業態を分野ごとに区分けし、コロナ前と言える昨年1月と第3波真っただ中の昨年12月の消費指数を比較したものになります。

 どの分野でもコロナ禍で対面の小売業態が前年比でマイナスになっているなか、ECはいずれも大きく伸びていることが確認できます。なかでも、医薬品・化粧品や飲食料品はもはやECで注文することが浸透しているように見えます。鶏が先か卵が先かの議論になってしまうかもしれませんが、外部環境によって個人の行動様式がオンラインサービスの利用にシフトしていく速度よりも速く企業はDXを推進しないことには、コロナ前のビジネス規模を維持できなくなるということは非常に重要な観点だと思います。決算説明会資料などに目を通し、依然として「DXの推進」程度の記載しかなく、具体的なアクション内容や結果が書いていない企業は危険かもしれないからです。