前回の記事ではオルタナティブデータとして、クレジットカードの利用データから消費の実態について見ていきました。今回はオルタナティブデータを活用して、物価の実態について探っていきたいと思います。

デフレ経済へ突入の瀬戸際

 総務省が発表した6月の消費者物価指数を見てみましょう。総合指数が前年同月比+0.1%と非常に低い伸び率を続けています。価格変動の激しい生鮮食品やエネルギー価格を除いた数値でも、同様に低い伸び率となっています。

 日本が長らくデフレを脱却できず、日本銀行が躍起になって対策をしていたことは記憶に新しいですが、未だに年間で2%程度の物価上昇を達成できていません。モノが安く買えるんだからデフレの方がいいじゃないか、という声も耳にしますが、それは明らかに間違った考えで、デフレによって経済成長は鈍化し、格差は広がっていく。それは日本が証明してしまったことなのです。

前提条件を同じにしてから比較しよう

 しかし、先程のグラフは実態を表しているとは思いません。なぜなら、消費者物価指数というのは消費者が実際に支払う価格に基づいて算出しているため、消費税も含まれています。そうなると、昨年の10月に消費増税があったわけですから、その前の年の10月と比較すると、増税した分だけ物価が高くなってしまうのです。そこで、総務省は消費増税などの特殊要因を調整した数値も同時に発表しています。

 あくまで参考値ですが、昨年の10月に実施した消費税率引上げと幼児教育・保育無償化の影響を品目ごとに機械的に一律に調整した指数になります。これを見ると、既にデフレに突入したと判断してもいいのかもしれません。

外出しないなら化粧はしない?

 さて、このように毎月1回発表される消費者物価指数を見ていくと、日本経済の状況を把握することはできるのですが、更に詳しく分析するためには消費者物価指数を構成する内訳を見ていく必要があります。全部で500以上も品目があるため、全てを見ていくのは大変ですが、たとえばテーマを決めて分析をすれば、一部の品目だけを見ればよくなります。

 コロナの影響をみるために、ここでは女性用の化粧品について見てみましょう。コロナの影響で外出をする機会が減り、外出をしたとしてもマスクをするので、化粧品への需要がなくなったという話を聞きます。それでは、需要がなくなったことで化粧品の価格は下がったのでしょうか?

 消費者物価指数の内訳にある4品目の価格推移を見てみると、それほど価格には影響がなく、化粧品への需要がなくなったかの確認はできません。

因数分解の発想が必要

 そこで、オルタナティブデータの登場です。ナウキャスト社が提供している「日経CPI Now」のデータを見てみましょう。「日経CPI Now」は全国の食品スーパー1,200店舗のPOSデータをもとに日次の物価や売上高を算出しています。

 売上というのは「価格×販売数量」ですから、前述のように価格に大きな変化がないとすると、売上の変化=販売数量の変化と考えられ、需要をダイレクトに確認できます。

 前回の記事でも説明をしましたが、オルタナティブデータのメリットは速報性と発表頻度の多さです。「日経CPI Now」では日次でデータを確認できるのですが、上図をみると外出自粛要請や非常事態宣言の期間は明らかに需要が落ち、徐々に回復していっていることが明確に表れています。

 このように、オルタナティブデータを活用すれば、様々な仮説をほぼリアルタイムに検証することができる訳です。現在は運用会社や調査機関が活用しているだけですが、今後は国の政策運営にも活かされてくることでしょう。


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