12月に入っても新型コロナウィルス感染拡大の第3波のピークは未だ確認できません。同月12日には国内感染者数が1日の発表数としては最多となる3,000人を超えました。前回の記事でGo To トラベルキャンペーンの効果が東京追加以降の10月から発揮されてきたと書きました。しかし、11月から第3波といわれる感染の再拡大が生じているため、同キャンペーンの一時停止なども検討されています。今回はオルタナティブデータを用いて同キャンペーンのデータを確認し、誰が利用しているのかを確認していきましょう。

既に国民の自粛は始まっている

 株式会社ジェーシービー(以下:JCB)と株式会社ナウキャスト(以下:ナウキャスト)は、匿名加工されたJCBのクレジットカードの取引データを活用して、現金も含むすべての消費動向を捉える国内消費動向指数「JCB消費NOW」を提供しています。

このJCB消費NOWにおける「旅行」の消費指数にPCR検査の陽性者数の推移と重ね合わせたものが下のグラフになります。

 PCR検査の陽性者数が増えた時期を感染拡大期とした場合、日本では第1波から現在進行形である第3波という3回の感染拡大期があったのですが、第1波の時は緊急事態宣言が発令されていたこともあり、旅行への支出は急激に低下しました。第2波は急激な低下からの回復が止まっただけであり、再びマイナス幅を広げることはありませんでした。

 その後は前回の記事でも書きましたが、Go To トラベルキャンペーンに東京が追加されたこともあり、急回復をして前年比でもプラスの成長まで戻りましたが、第3波が襲来したことで11月後半には再び前年比でマイナスの伸びとなりました。  同キャンペーンが感染拡大を加速させたとの指摘もあり、政府は一時停止なども検討しているということですが、国内の感染拡大の報道を受けて、既に国民は自粛を始めていることがデータから分かります。

そこまで大きな傾向は確認できないが・・・

 旅行について年代別の消費指数を見てみましょう。5歳ごとに年代を区切って見てみると、11月後半はほとんどの年代で伸び率がマイナスになっていることが分かります。

 年齢ごとに見てみても、そこまで大きな傾向を見出すことは出来ませんが、60歳以降の高齢者はややマイナス幅を大きくしているという傾向はあります。やはり新型コロナウイルスの特性の1つとして挙げられている、高齢者ほど重篤化リスクが高いということが影響しているのでしょう。

遠距離移動になると傾向が現れる

 次にJCB消費NOWの航空について見てみましょう。こちらも先程と同様に年代別に見てみると、こちらは明確に傾向が見て取れます。

 航空も高齢者ほどマイナス幅が大きくなっていますが、旅行と違うのは若年層もマイナス幅が大きくなっていることです。グラフを見てみると、50歳台を中心に弓なりに曲がった形になっていることが分かります。  若年層ほどネット環境があればいくらでも楽しく生活できる方法を知っているため、わざわざ感染リスクを負ってまで出かける必要を感じていなかったり、そもそも経済的に同キャンペーンを活用して旅行に行こうとは思わないという要因があるのかもしれません。

マイクロツーリズムすらも控えたか

 前回の記事ではGo To トラベルキャンペーンに東京が追加されたことで旅行へ行く人が増えたものの、不特定多数の第三者と密な環境になる新幹線や飛行機といった交通手段は避け、自家用車で旅行に行く人が多いという分析結果を書きました。しかし、JCB消費NOWの燃料小売業を見てみると、11月は再びマイナス幅が大きくなっていることが分かります。

 やはり現在の第3波に関するニュースの中で報じられる陽性者数がこれまでより多いことや、気温と湿度の低下という一般論として感染症が流行しやすい環境になってきたということなどによって、国民が自主的に自粛を始めているということなのかもしれません。

 未だに第3波のピークが確認できないなかで、仮に政府が同キャンペーンの一時停止を決めた場合、宿泊業や旅行・観光業への影響は言うまでもありませんが、自粛ムードがより強まることで娯楽や外食などの産業にも悪影響が生じます。足元の株式市場は堅調ですが、個人投資家は自分が投資している銘柄が属する産業への影響を再度考え直して保有銘柄の構成を見直してもいいかもしれません。