葬儀、お墓、仏壇などのポータルサイトを運営する鎌倉新書(6184)。これらの領域はいずれも、従来は選択の余地が小さく、商慣行がややわかりにくい仕組みが難点でした。

2000年に全国の葬儀社検索や葬儀関連の情報サイト「いい葬儀」を開設。その後、2003年に霊園や墓地、墓探しのサイト「いいお墓」と、仏壇や仏具店を検索するサイト「いい仏壇」を開設しました。

また、2011年には全国対応が可能な遺品専門業者を紹介する「遺品整理なび」、2019年には家族らが亡くなったなくなった後の相続手続きをワンストップでサービスする「いい相続」も展開しています。

同社のサイトに行けば「終活」関連のほぼ全てが解決できるようになっており、供養サービスとITを組み合わせたビジネスモデルで成長してきています。

ただ、この業界にも新型コロナウイルス感染拡大の影響が出ています。

2020年12月に発表が予定されている2021年1月期の第3四半期決算や、来期の業績を占ううえでのポイントを取り上げます。

目次

  1. 上期(2~7月)では売上高は前年同期比4.9%減、営業損益は8,100万円の赤字。コロナ影響響く
  2. ウィズ・コロナの定着で業績には底入れ感も
  3. 【まとめ】第3四半期(8月~10月)で売上高と利益に底入れ感が出るかに注目

上期(2~7月)では売上高は前年同期比4.9%減、営業損益は8,100万円の赤字。コロナ影響響く

2020年12月に予定されている鎌倉新書の21年1月期の第3四半期決算発表を前に、第2四半期までの経営成績や事業展開、注目ポイントなどをチェックしておきます。

2020年9月10日に発表された21年1月期の上期(2020年2月1日~7月31日)決算は、売上高が13億8,600万円(前年同期比4.9%減)、営業損益は8,100万円の赤字(前年同期は3億1,700万円の黒字)となりました。全般的に新型コロナウイルス感染拡大の影響が出て、業績の下押し要因になりました。

第2四半期決算発表時点で業績を下方修正しています。21年1月期通期の売上高は前回予想を6億1,000万円減額の33億9,000万円(前期比3.9%増)、営業利益は2億4,500万円減額の2億6,500万円(同66.9%減)を見込んでいます。

第2四半期時点(9月10日)の株価は865円、時価総額は約335億円でしたが、11月16日時点では株価は1,185円、時価総額は約460億円と増加しています。

主力3事業の21年上期の売上高は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、軒並み減少しました。

お墓の買い控えが起こり成約数が減少。葬儀の施行単価が下落し、低価格層の葬儀成約数も減っています。仏壇も同様の傾向です。下方修正は主力3事業が想定より低迷していることが要因です。

相続事業については売上高の規模は小さいものの、順調に推移しています。

主力3事業は緊急事態宣言解除の20年6月以降、トレンドは上向きに変化してきているとしています。

ウィズ・コロナの定着で業績には底入れ感も

鎌倉新書の決算資料によれば、お墓事業では先行指標である紹介数は20年6月から回復傾向にあるほか、「密」を避けるために葬儀の小規模化(低価格化)が進んでいた葬祭事業でも直近では低価格葬儀は減少傾向になりつつあります。

仏壇事業も20年7月から回復トレンドに向かいつつあります。ウィズ・コロナの定着で、力強さには欠けるものの日常が戻りつつあるようです。

相続事業は前期から開始し、集客チャネルの多様化で順調に成長しています。

ALTalkのデータによると、20年5月以降の「いい葬儀」のweb訪問数が上昇傾向にあり、コロナ以降でも注目が集まっていることがわかります。第3四半期決算でこのweb訪問数がどう反映されるかが注目されます。

ALTalk「鎌倉新書の指標」より

日本の高齢化は着実に進みます。内閣府によれば、総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は2017年に27.7%、2040年には36%を超える見込みです。

「終活インフラ」を目指す鎌倉新書にとっては、長いスパンで見れば、ビジネスチャンスは少なくありません。

【まとめ】第3四半期(8月~10月)で売上高と利益に底入れ感が出るかに注目

2021年1月期の第2四半期決算からは、短期的な業績はコロナ禍の直撃を受けて想定以上に厳しい環境が浮かんできました。

一方、20年6月以降では主力3事業に徐々に底入れの気配が感じられました。第3四半期で下げ止まりの兆しが見えれば、来期である22年1月期の業績の回復の確度は高まることが予想されます。20年8月以降の株価の戻りは、こうした期待感を織り込んでいる可能性があります。

お墓事業、葬祭事業、仏壇事業は、それぞれ個別では競争が激化しています。

一方、相続事業や保険事業などにも展開し、「終活をワンストップで行える」同社のビジネスの参入障壁は意外に高いともいえそうです。

鎌倉新書の株価指標を見ておきましょう。

(20年11月16日現在)

PSR(株価売上倍率)は成長株の評価に使われる指標で、おおむね20倍以上では割高、1倍以下なら割安と判断します。

鎌倉新書のセクターは成熟産業ですが、ワンストップで活用できるネットサービスという観点では成長株と判断されます。PERの高さは、来期の業績回復を織り込みプレミアムが付与されている可能性があります。

今後の四半期ごとの決算をチェックする必要はありますが、成長性を加味すれば、割高とはいえないと考えられます。


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参考資料

2021年1月期 第2四半期 決算説明資料