11月13日(金)にChatwork株式会社(チャットワーク)の2020年12月期第3四半期決算の発表が予定されています。

チャットワークは昨年秋に上場したばかりですが、今年は上場して2期目になります。今期の第3四半期決算の注目点を解説します。

1. 企業概要

Chatwork株式会社(チャットワーク)はビジネスチャットのSaaS(クラウドソフトの提供サービス)を主力とする企業です。サービス名は社名と同じ「Chatwork」。

昨年9月に新興市場のマザーズに上場しました。

チャットワークには2つの事業部門がありますが、同社ではセキュリティ事業は積極的な事業拡大は行わないとしています。チャットワークの成長はChatwork事業の成功にかかっています。

2. チャットワークの直近の業績をチェック

次に、8月14日に発表されたチャットワークの直近の決算(中間決算)を確認します。前年との比較や、進捗率はどうなのか、細かく見ていきます。

直近の業績サマリー

まずは今期の中間決算を確認します。一年前と比べてどれほど成長したのか、前期の中間決算とあわせて見てみましょう。

コロナ禍により業績が悪化する企業が続出するなか、テレワーク勤務の増加を受けてか、今期のチャットワークの中間決算は絶好調でした。

【前年同期との比較】

  • 売上 :8億5,344万円→11億5,462万円(+35.3%)
  • 営業利益 :5,560万円→2億2,526万円(約4倍)
  • 純利益 :4,640万円→2億2,758万円(約5倍)

昨年と比べると、チャットワークは売上と利益とも桁違いの成長を見せています。

会社予想との進捗率

チャットワークは第1四半期では保留していた2020年12月期決算の業績予想を開示しました。

【2020年12月期の会社予想と進捗率】

通期の会社予想に対し、中間決算の売上は妥当なペース、利益は5~6割から8割方固めています。

ただ、今後会社予想の修正がくるかもしれません。あくまで参考に見ておきましょう。

3. チャットワークの主要KPIの推移

ついでにチャットワークの成長を牽引するChatwork事業の主要KPIも押さえておきましょう。

【主要KPI】

  • 登録ID数
  • DAU数(1日のアクティブユーザー数)
  • 課金ID数
Chatwork社『2020年12月期 第2四半期決算説明資料』より

チャットワークの「ID登録数」と「課金IDの数」は2018年初頭から順調に伸び続けています。

また、1日のアクティブユーザー(DAU)の伸びは2019年Q4に鈍化しましたが、企業のテレワーク採用の潮流に乗り、2020年に入って8~9%も増加しています。

これらのKPI指標を見ると、チャットワークはコロナ禍に遭遇する前からおおむね安定的に成長し続けていることがわかります。

さらに、課金ID数の伸びに比べて利益額が大きくなっており、既存ユーザーが上位プランに移行していると考えられます。

4. 前期の決算発表から今までの株価推移

ここで、Chatwork株式会社の最近の株価推移をチェックしてみましょう。

ALTalk「チャットワークの指標」より(2020年11月2日現在)

チャットワークの株価は通期決算発表(2/14)後に株式市況の不調に連れ安し、3月の市況下落で上場後の最安値をつけました。

5/15に第1四半期の好業績発表後は株式市況の軟調をよそに人気の銘柄になり、その後の値動きは好調に推移しました。

8/14の中間決算で事業の成長が確定的になると、出来高も多くなり株価も逆行高に。最近(10月末)の株価は一服し下げ基調になっています。

ただ、チャットワークの現在の株価は新興成長株によく見られる過熱感をはらんでいます。

5. 次回決算の注目ポイント

最後にチャットワークの第3四半期の注目ポイントを紹介します。まず証券アナリストの業績予想を確認し、その後に着目すべき点を見てみましょう。

証券アナリスト予想

今期の経常利益コンセンサス :3億7,500万円(出典:IFIS株予報
今期の業績予想(純利益) :5億1,000万円(出典:みんなの株式
【参考】中間決算の純利益 :2億2,758万円

アナリストの業績予想は通期分しか見当たりませんでした。しかも予測値にかなりの幅があり、前期の純利益と比較すると4~8倍の差があります。

チャットワークは高成長企業なので、プロでも業績予測がしにくいとみられます。

第3四半期決算の注目ポイント

チャットワークの成長のカギは利用者の増加と、収益率をいかに上げていくかです。したがって、第3四半期決算で注目すべきポイントは以下になります。

  • Chatworkの登録IDの増加数
  • 収益率

Chatworkの登録ID数の予想

中間決算後から利用者数がどれほど増えるか、考察してみます。

第3四半期の登録IDの増加率は横ばいか、もしかすると下落するかもしれません。理由は2つです。

  1. 母数増加にともない、ID増加率が年々ゆるやかに
  2. 中間決算後のテレワーク率は横ばいと推測

登録IDは2020年の春に急増したように見えます。しかし、ChatworkのIDは2018年から3か月毎に5~8%づつ増加しており、特別に増えているわけではありません。

また、テレワークは2020年の3~5月にかけて急増したと見られますが、それ以降はさほど変化がないと推測できます。

たとえば、JR東日本とJR西日本の定期券収入の前年比減収率は4~6月が大きく、7~9月では前四半期とさして代わりばえしません。

JR東日本、JR西日本開示資料より(※「参考資料」リンク参照)

中間決算後の登録ID数は約356万と母数が大きく、登録率もいつも通りに収まると考えられるため、370万台半ば程度に落ち着くのではないでしょうか。

前四半期(中間決算)から利益率は成長するか

前四半期(中間決算)と第3四半期の利益成長率が高まるか、また第3四半期の営業利益の額について考察します。

チャットワークの収益モデルはChatworkの課金です。Chatworkは無料でも使えますが、利用度に応じた課金制や、企業向けの管理機能つきの上位プランもあります。

KPI指標から見ると、無料ユーザーに対する課金ユーザーの割合が増えた分だけ利益率が上昇していくはずです。しかし、チャットワークの場合は様相が少し違います。

2019年以降は課金ユーザーの増加率が3~5%と以前よりだいぶ低くなったのに、2020年に入り利益が激増しているのです。

つまり、既存の無料プラン改定による実質的な課金誘導と価格改定のほか、企業の上位プラン契約に成功したとみられます。

特に、前四半期はAPRU(ユーザーあたりの平均単価)の増加率が今までの数%以下から9%に急上昇(4~6月)したことからも、プラン移行した企業が多かったのがわかります。

前四半期に収益率が大幅に成長した要因は大口特需をつかんだためでしょう。

しかし、在宅勤務者の数が横ばいもしくは下落傾向にある局面では、利益率の大きな柱となる企業の上位プラン契約はほぼ増加しないと考えられます。

また日本経済がコロナ禍の影響から脱する兆しはまだ見えず、他サービスの乗り換えなど大きな解約につながる要素も考えにくいです。

したがって、第3四半期の利益率は前四半期(中間決算)に比べて微増にとどまるでしょう。第3四半期の営業利益も3億7,000万円前後となるのではないでしょうか。

まとめ

チャットワークは2020年に入り、テレワーク需要を追い風に急成長を見せています。

今のところ、仕事で出社する人の数は前四半期とあまり変わりないようです。

Chatworkの利用者数と課金率は微増にとどまり、中間決算までのような高成長は達成できない可能性があるでしょう。

また、チャットワークの株価は高成長と好業績を見込んでだいぶ過熱気味です。投資タイミングは慎重に図ったほうがいいかもしれません。


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参考資料

JR東日本_2020年度 鉄道営業収入 対前年比の推移

JR東日本 2019年度 鉄道営業収入 対前年比の推移

JR西日本_運輸取扱収入の対前年推移(2020年3月期)

JR西日本_運輸取扱収入の対前年推移(2021年3月期)