2020年10月に実施した株式交換によりトラストバンクを完全子会社化したことで注目を集めているチェンジ(3962)。第3四半期ではトラストバンクが売上・利益とも大幅に伸ばす一方、チェンジは減益となりグループ内で明暗が分かれました。

ふるさと納税を柱に好成績を上げるトラストバンクと、事業環境の好転から長期成長の期待がかかるチェンジについて分析しつつ、2020年9月期本決算で注目すべき点を取り上げました。

目次

  1. 第3四半期までの営業利益は子会社トラストバンクの伸長により驚異の306.8%増
  2. トラストバンクの完全子会社化でEPSが37.83%増加。シナジー拡大に期待がかかる
  3. 目下の事業環境はトラストバンクに順風、長期の成長はチェンジが担えるか
  4. 【まとめ】中期計画の修正内容とトラストバンクの長期を見据えた事業の多角化に注目

第3四半期までの営業利益は子会社トラストバンクの伸長により驚異の306.8%増

2020年11月に予定されているチェンジの2020年9月期の本決算発表に先立ち、第3四半期までの主な経営指標と事業展開、注目すべきポイントについておさらいしておきましょう。

2020年8月12日に発表された2020年9月期の第3四半期決算(2019年10月1日~2020年6月30日)における売上高・営業利益は以下のとおりでした。

営業利益の驚異的な伸びが目立ちます。これにともない売上高営業利益率も前年同期の15.2%から今期は37.5%と著しい改善を示しました。

チェンジの決算は、本体であるチェンジと子会社であるトラストバンクの連結で発表されています。セグメントに分けた経営指標は以下のとおりです。

売上高・営業利益とも子会社であるトラストバンクの伸びに支えられていることがわかります。

トラストバンクは新型コロナウイルス対策のプロジェクトを多数企画・実行した結果、ふるさと納税の取り扱い寄付額が想定額を上回り好調に推移しました。

20年9月期の最新業績見通しは売上高が110億円と期初目標から17.6%増、営業利益が34億円と期初目標から161.5%の大幅増を見込んでいます。

株価は第3四半期決算発表時点(2020年8月12日)で4,450円(株式分割調整後の数値)、時価総額は約1,492億円でしたが、10月28日時点で株価は8,510円、時価総額は約2,854億円と80%を超える上昇を見せています。

9月末頃に株価はいったん12,370円まで上昇しましたが、過熱感から調整し現在は落ち着いているところ。経営陣からは今回の株価下落は「経営のファンダメンタルズに基づいたものではない」という趣旨のコメントが聞かれました。

ALTalk「チェンジの」より

トラストバンクの完全子会社化でEPSが37.83%増加。シナジー拡大に期待がかかる

親会社チェンジと子会社トラストバンクの業績をセグメントとしてみると以下のとおりとなります。

売上高のシェアで75.5%、利益のシェアでは89.0%といずれもトラストバンクが多くを占めています。

チェンジはいま話題の「DX」(デジタルトランスフォーメーション)で注目を集めています。

チェンジでは、業務システムの導入と人材教育を併せたトータルソリューションを提供する「NEW-ITトランスフォーメーション事業」を推進しています。主な顧客は中央省庁、自治体、生損保、証券、SI、通信キャリア、クラウドサービスなどです。新型コロナウイルス感染拡大が経済活動にさまざまな影響を及ぼしているなかでも、比較的投資体力を維持している業種に注力して案件化を進めています。

トラストバンクは日本最大級のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の運営を含む「パブリテック事業」(「行政のデジタル化」と「社会のスマート化」)を柱に、地域通貨事業、地域エネルギー事業といった、地方に根を張った事業の多角化を進めています。

20年10月にチェンジがトラストバンクを完全子会社化したことで、チェンジのEPS(1株当たり利益)は37.83%の大幅増となりました。

チェンジは2003年にコンサルティング会社アクセンチュア出身メンバーにより創業しました。トラストバンクは2012年に現会長のふるさと納税サイトの開設によって誕生しました。両社の資本関係はもともと強かったものの事業分野は異なっていましたが、地方公共団体向けのパブリテック事業にトラストバンクが本格参戦したことでチェンジの得意分野であるDXとのオーバーラップが生まれ、シナジーが大きくなっています。今後、完全子会社化によるパブリテック事業の効率化・スケールアップに大きな期待がかかります。

目下の事業環境はトラストバンクに順風、長期の成長はチェンジが担えるか

日本は「人口減」という長期課題を抱えています。目下、そして長期的にもDXの余地は構造的に大きいうえに、他の先進国より遅れている分、チェンジの事業にはチャンスの大きい局面が続くと考えられます。

トラストバンクの成長が目立っていますが、今でこそ売上高の25%ほどしかないチェンジの「NEW-ITトランスフォーメーション事業」に、長期的に注目していきたいところです。

菅政権下のもとでデジタル庁の設置が検討されていますが、その一丁目一番地が「行政のデジタル化」(署名・決済のデジタル化、マイナンバーの普及、行政のIT化・業務標準化、行政の働き方改革)です。

行政のデジタル化も、チェンジが省庁や自治体への取り組みを強めていることへの強い追い風となります。行政を旗振り役に民間のDX推進が加速すれば、システム導入から人材教育までトータルに手がけるチェンジの事業への好影響が見込めます。

トラストバンクについては、ふるさと納税はまさに菅首相が官房長官時代に肝いりで推進した政策であり、当面推進が続くことが予想されます。今後も政策関連の動きがあるか、ウォッチが欠かせません。

また、チェンジの投資部門にも注目です。

チェンジはM&Aを重視しており、トラストバンクという大ヒットを生み出した実績があります。M&Aの指針もチェンジの事業とダイレクトに関わる手堅いものです。子会社化による事業拡大をねらうにしても、DXというコア事業を軸に据えた投資活動には、すぐれた目利きとインキュベーションが期待できます。

■チェンジの投資事業方針
1.仲間(デジタル人材)を獲得するためのM&A
2.経営者を育てるためのM&A
3.DXを実践するためのM&A

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3962/ir_material2/149383/00.pdf

【まとめ】中期計画の修正内容とトラストバンクの長期を見据えた事業の多角化に注目

2020年9月期の第3四半期決算で通期目標を上方修正しており、経営陣は業績に自信を持っています。まずは修正した目標である「売上高110億円・営業利益34億円」が達成されるかをチェックしましょう。

2022年までの中期計画の進捗が著しく、営業利益ベースで1年前倒しの達成を見込んでいます。中期計画の修正を2020年9月期本決算のタイミングで検討するとしており、その内容にも注目です。

今後はこれまで以上に完全子会社化されたトラストバンクの収益がよりダイレクトにチェンジの株価に反映されます。パブリテック部門において第3四半期でのめざましい成長が続くか、売上と収益はどれだけ伸びるかを確認しましょう。

トラストバンクの売上は国の制度であるふるさと納税に強く依存しています。引き続きコア事業として推進しながらも、長期を見据えた事業の多角化が急がれます。行政のデジタル化、地域通貨事業、地域エネルギー事業などの進捗や自信度も見ておきたいところです。

チェンジについては、DX事業と投資事業に長期的な成長期待がかかります。

「Google Workspace」をはじめとする業務支援ツールの提供と、幅広くテクノロジー企業への投資事業を行う米グーグル社との類似性も感じられます。

グーグルがGAFAの一翼を担う「テクノロジーのアイコン」であるように、チェンジが日本における「DXの象徴」となる日が来れば長期投資家は報われることになります。

チェンジの株価指標は以下のとおりです。

チェンジの株価については一時の高騰を経て落ち着いてはいますが、指標で見るといまだ過熱の域です。

短期狙いの投資家はモメンタム(勢い)への目配りが欠かせません。長期保有を考えている投資家は、短期の値動きに気をとられないよう毎決算ごとにファンダメンタルズをしっかり確認していきましょう。


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