11月16日(月)にリクルートホールディングス(6098)の中間決算発表が予定されています。

これまでの業績を振り返りつつ、今回の中間決算の注目ポイントはどこにあるのか解説します。

目次

  1. 企業概要
  2. リクルートの直近の業績をチェック
  3. 前期決算発表後から今までの株価推移
  4. 中間決算の注目ポイント
  5. まとめ

1. 企業概要

株式会社リクルートホールディングス(リクルート)は東証一部上場で、求人・各種情報メディア、人材派遣業が主力の大企業です。近年は求人検索エンジン大手、米国のインディード社買収など、グローバル企業への躍進を果たしています。

2. リクルートの直近の業績をチェック

中間決算を控えたリクルートの直近の第1四半期の業績を確認します。会社全体と事業部ごとの実績、進捗率はどうなのか、細かく見ていきます。

(1) 業績サマリー

まずはリクルートの本年度の第1四半期(2020年1Q)の業績をざっと見てみましょう。

単位:億円、数値は概算

コロナ禍による影響を受け、業績好調だったリクルートも大幅な減収減益を強いられました。

【前年同期比との比較】

  • 売上 :5,944→4,754億円(20%ダウン)
  • 営業利益 :712→266億円(62.6%ダウン)
  • 四半期利益 :596→224億円(65.3%ダウン)

売上が急減するなかで、広告費と販促費を中心に販管費を440億円減らしたものの、第1四半期の利益は前年同期比の3分の1程度となりました。

(2) 各事業分野ごとの実績とその要因

次に、各事業ごとの実績を説明します。
売上の高い事業部門から、「人材派遣」「メディア&ソリューション」「HRテクノロジー」の順に見ていきます。

人材派遣

リクルート社は人材派遣の最大手で、この事業分野で会社の売上の半分以上を稼ぎ出しています。

これは2020年4月の法律施行による「同一労働同一賃金」の実施にともない、国内で展開する派遣事業が増収・増益になったことが寄与しました。セグメント売上の落ち込みは主に海外の派遣事業の減収(26.6%減)によるものです。

メディア&ソリューション

メディア&ソリューション事業は、求人と一般消費者向けの情報・販促メディアプラットフォームの運営です。メディア&ソリューション事業は会社の利益の半分以上を稼ぎ出す大黒柱といえます。

コロナ禍の影響による自粛で来店販促や旅行、求人サイトの利用が激減し、広告販促費を抑えたものの、利益が前年同期の半分程度に落ち込んでしまいました。

HRテクノロジー

HRテクノロジー事業では求人検索エンジンサイトと、企業の口コミ投稿・求人検索サイトの運営をしています。売上は会社全体の2割程度に過ぎません。

売上は前年同期比27.5%減、セグメント利益は6割減と大幅ダウンしました。HRテクノロジー事業はグローバル展開しているサイトが主軸のため、世界的な不景気の影響を受けやすいです。投資抑制など経費節減をしたものの、企業広告の出稿見送りが大きく響きました。

(3) 会社の通期予想に対する進捗率

リクルート社では今期(2021年3月期)の連結業績見通しが困難として公表していません。合理的な業績予想が可能になった時点で開示すると表明しています。

3. 前期決算発表後から今までの株価推移

ここで、ひとまずリクルート社の最近の株価推移をチェックしてみましょう。

リクルートホールディングスの株価は株式市況の下落に巻き込まれることはあっても、前期決算からおおむね好調に推移しています。さすが4期連続増収増益の好業績かつ人気の銘柄ですね。第1四半期の発表後は特段の下落もなく、株式をそのまま保有しているホルダーも多いことでしょう。

4. 中間決算の注目ポイント

最後にリクルートの中間決算の注目ポイントを紹介します。まず証券アナリストの業績予想を確認し、その後に着目すべき点を見ていきましょう。

  • 中間決算の経常利益 :804億円(出典:IFIS株予報)
  • 今期の業績予想(純利益) :1,303億円(出典:みんなの株式)
    ※2020/10/28 現在

前期(2019年2Q)の中間決算の実績は経常利益が1,578億円でしたので、今期は半分程度に落ち込むと予想されています。

直接的な比較はしにくいですが、今期の第1四半期の純利益は224億円でした。中間決算は恐らく500億円台に着地する予想をしているとみられます。

そして、リクルートの中間決算で注目すべきポイントは以下です。

(a) 人材派遣事業がどこまで踏みとどまるか

(b) 国内の消費回復傾向を取り込めるか

(c) 海外の景気動向による影響

(a) 人材派遣事業がどこまで踏みとどまるか

リクルートの売上の半分以上は国内外の人材派遣事業によるものです。ただ、直前の第1四半期は海外部門でコロナ禍の影響をもろに受けたものの、国内部門は大好調でした。

しかし、ここにきて国内の状況も怪しくなっています。例えば、総務省の労働力調査(~2020年8月)によると、2020年3月まで高止まりしていた国内の派遣社員数が4月に急減し、またさらに7月にぐっと減少しています。国内外の人材市場の収縮の影響がどの程度あったか注視しましょう。

(b) 国内の消費回復傾向を取り込めるか

メディア&ソリューション事業は会社の利益の半分以上を稼ぐ大事な部門です。しかし、この分野はほぼ国内市場に依存しているため、国内の需要回復がどの程度だったか、また確実に需要を取り込めたかがキモになります。

第1四半期に特に落ち込んだのは「転職&(非正規)求人」「結婚」「旅行」「飲食」です。旅行と飲食は政府のGoToキャンペーンがあり、結婚式の件数は8月と9月で前年同期比でそれぞれ50%、70%に回復しています。本格的な景気回復とはほど遠いため、その他の分野の回復状況もチェックしておきたいですね。

(c) 海外の景気動向による影響

HRテクノロジーは世界的な転職/口コミ関係サイトの運営事業のため、海外の景気と求人市場が回復しない限り、業績は軟調になると見込まれます。コロナ禍により英独仏で外出や営業制限の発令、米国は地域により活動制限がある状況にです。回復の見込みはまだ見えません。

コロナ禍からの業績回復はなかなか厳しいですが、どの程度回復しているかを見極め、投資の判断を行いましょう。

5. まとめ

業績好調だったリクルート社さえもコロナ禍による不景気に巻き込まれています。中間決算の見どころは、一時あった経済活動の制限とそれに続く緩和でどの程度業績が回復したかです。

コロナ禍による経済の落ち込みはとても激しいです。しかし、コロナ禍を克服できる兆しが出てくれば、消費需要や企業の採用意欲が回復し、リクルート社の業績のV字回復も期待できるのではないでしょうか。

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