総務省が10月23日に発表した9月の全国消費者物価指数(CPI)は「総合」と「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」がともに前年同月比±0.0%となり、生鮮食品を除く総合は同-0.3%となりました。

 総務省は2019年10月実施の消費税率引上げ及び幼児教育・保育無償化の影響を品目ごとに機械的に一律に調整した指数である「消費税調整済指数」も同時に発表していますが、こちらは3指数とも前年同月比でマイナスとなっており、依然として物価が上昇していく気配は確認できません。

一時期よりも外出は増えるも、コロナ前の状態には戻っていない

 それでは、今回も内訳を細かく見ていきましょう。外出自粛に伴い巣篭り生活の影響から需要が高まっているとされていた菓子類は徐々に物価上昇率が下落しています。少しずつ外出を増やす人が増えてきたのでしょうか。

 しかし、人件費の高騰によって価格上昇が指摘されていた外食を見てみると、こちらも少しずつ物価上昇率が緩やかに下がっています。緊急事態宣言が明けて以降も客足が戻りきらず、価格を下げている飲食店が私の自宅周辺でも見かけられるのですが、これら2つの品目から想像されるのは、一時期よりは外出する人が増えたものの、積極的に消費をする状況にはないということなのでしょう。それはもちろん、感染を嫌がって外食を避けているということもあると思いますが、それ以上に労働市場の悪化や、残業代・ボーナスの減少など、消費を控える環境にあると考えます。

品目ごとのクセを知ることが重要

 次に、エネルギー価格のうち、電気代とガソリンの推移を見てみましょう。ともに物価上昇率はマイナス圏で推移していますが、電気代が緩やかにマイナス幅を広げている一方で、ガソリンは急速に戻しています。

 原油価格が春先に大きく下落し、それ以降は40ドル前後まで値を戻し、その後はその水準で推移しています。実は電気代は原油価格の反映に時間がかかるクセがあるため、いま春先の原油価格の下落の影響が出ており、一方でガソリン価格は原油価格の推移と似たような動きになっているのです。このような品目ごとのクセを知ることは非常に重要です。

リモートワークは定着か?

 つぎに教養娯楽用耐久財として、デスクトップパソコンとプリンタの推移を見てみましょう。4月、5月の緊急事態宣言が発令した時期にリモートワークのためにデスクトップパソコンやプリンタの需要が高まり値段が上がるのは分かりますが、足元でも上昇しています。

 菓子類や外食の推移を見た際に、一時期よりは外出をする人が増えたものの、積極的に消費をする状況にないと書きましたが、パソコンやプリンタの推移を見てみると、仕事という観点からはリモートワークが想像以上に定着してきたと言えるでしょう。

Go To トラベルキャンペーンの効果は10月以降に期待

 Go To トラベルキャンペーンの影響で、宿泊料は前月と同様に大幅なマイナスとなりました。このキャンペーンがどれほどの効果があったかというと、東京追加前は期待ほどの効果がなかったものの、東京追加以降では大きく効果が確認されるだろうということが私の見解です。

 その見解の根拠となるのは、オルタナティブデータとしてクレジットカード決済の情報を分析した結果なのです。東京追加は10月からですが、9月後半から先行して予約を行うことが可能でした。そのため、9月後半の時点で既に旅行への消費が増加しているのです。

 今回発表された消費者物価指数は9月分のデータになります。来月発表される10月分のデータは消費増税から1年経ったことや、酒税・たばこ税、NHKの受信料の変更など様々な要因が影響を与えます。

 これまでの連載で消費者物価指数を内訳まで詳しく見ていくことの重要性を分かってきたと思いますので、10月のデータではどの品目がどのような価格変動を見せるのかを今から予想してみましょう。次回の記事で答え合わせが出来ればいいなと思います。