こんにちは、Suiです。

前回の続きで「決算短信をどのように読んでいくか」について書いていきたいと思います。基礎編の2回目として、今回も出前館の3Q決算で業績の変動要因を見ていきます。

全体の流れ

(1)増収減益の要因

(2)定性情報の確認

前回の基礎編①では、決算短信の数字の部分をチェックしてきました。今回は業績が変化した要因を見ていきます。

<前回のポイント>

・3Qは前年同期比で増収減益(売上:+40% 営業利益:赤字転落)

・進捗率は未定に変更する前の通期予想に対して売上73.3%、営業利益(赤字)は超過ペース

(1)増収減益の要因

今回の出前館の例で押さえておきたいポイントとして挙げたのが「増収減益」という部分です。

前回記事からの引用)

通常、売上が増加していれば、費用がそれ以上に増加しない限りは増益になる可能性が高いです。今回の出前館で言えば、+40%の増収なのに減益になるのは増収以上にコストが増えた、しかも昨年はぎりぎり営業利益が出ていたのが営業赤字になるほどコストが増加したと解釈できます。

さて、増収減益の要因を詳しく見ていきたいと思いますが、上に書いた通り、コストの部分がどう変化したのかを確認する必要があります。

コスト部分を見るには損益計算書(P/L)のページを確認します。

出前館 2020年8月期 第3四半期 決算短信

3Q短信の6ページにP/Lが記載されています。

営業利益を動かすコストには売上原価と販売費及び一般管理費(販管費)の大きく2つありますが、これらの売上に対する比率(原価率、販管費率)を計算することでどのコストが大きくなったのかを把握できます

<図表1>

まずは売上原価率をみると、前期3Qの38.7%に対し、当期3Qは30.2%と売上原価の比率は低下しています。売上原価が具体的に何を示すのかについては、次回以降の応用編でビジネスモデルの理解と併せて見ていきたいと思います。

販管費率は前期3Qの60.7%に対し、当期3Qは93.3%と大きく上昇しているので販管費が大幅に増加したことが営業赤字になった主な要因と言えます。なぜ販管費が大幅に増加したのかは次の定性情報の確認でチェックしていきます。

これで利益増減の変動要因がコスト面でどこにあるかをP/Lで確認できました。次にその定性的な要因を見ていきますが、一旦ここまでの内容を整理します。

  • 3Qは前年同期比で増収減益(売上:+40% 営業利益:赤字転落)
  • 減益要因は販管費の大幅な増加によるもの

→販管費の増加理由は定性情報を確認する

(2)定性情報の確認

短信の業績部分から定量情報をまずは確認しました。次にその背景となる定性情報を確認していきます。

定性情報に関しては、まず決算短信のコメント部分に記載がないかチェックします。また、企業によりますが、決算説明資料で説明される場合もあるので決算説明資料の確認も必要です。同様に決算説明会で口頭による説明がされる場合もあります。

それでは出前館の決算短信を見ていきます。

<図表2>

売上に関する説明は、外出自粛による新規加盟の増加やエリア拡大などの説明がされていますが(青色部分)、費用に関する説明は「積極的な事業展開と投資実行」としか記載されていません(黄色部分)。短信の説明は企業によって丁寧に書かれていたり、出前館のように一言で説明されていたりとバラバラです。

ちなみに応用編では、ビジネスモデルと併せてさらに決算の理解を深める予定ですが、ビジネスモデルが理解できていると直接的な理由が記載されていない場合でも、他の情報からある程度の推測ができるようになったりします。

話を戻しますと、決算短信に記載が無い場合には決算資料など他の情報に記載がないかを探します。しかし、3Qでは説明会資料が開示されていないため、その直前の2Q決算資料を参考に確認してみます。

前回の基礎編①でも説明しましたが、2Qの業績は9月から2月までの6カ月間になります。

2Qの決算資料を見ると2Q時点で既に大きく販管費が増加していることが分かりますが、その理由としては広告宣伝費増加との記載がされています。

<図表3>

また、決算資料ではその販管費の内訳がスライドで説明されており、広告宣伝費、人件費ともに大幅に増加しています。販管費の内訳は大きくこの3つに分けて記載や説明がされる場合もあるので、短信と説明会資料を確認してみてください。

ちなみに、会社によりますが比較的上半期(2Q)や通期(4Q)の決算では詳細な説明がされることが多い印象がありますので、少し前の上半期や通期の資料まで遡ると情報が見つかるかもしれません。

<図表4>

広告宣伝費の大きな増加に関しては、テレビ広告などを増やしたり投資の側面が強いですが、人件費に関しては投資的に増加させたのか、売上と連動してコスト的に増加したのかが会社のビジネスモデルによって変わる場合があります。

したがって、次回以降の応用編で詳しく見ていきますが、ビジネスモデルが理解できていると、「業績の変化がどのような戦略をとった結果なのか」が見えてきます。

営業利益の増減分析の方法として、基礎的な見方は以上です。

基礎編としては、まず売上・利益の増減を確認し、その要因を理解するというのが決算では重要になります。

決算短信のサマリーでまず数字を確認し、増益・減益の要因を①原価率、販管費の比率から定量的に確認する、②原価、販管費がなぜ増減したのかを定性的な要因を確認する、の2点を決算短信や他の資料から確認していきましょう。