10月から「Go To トラベルキャンペーン」に東京も追加され、ネット上でも同キャンペーンを利用した人たちの投稿を目にする機会が増えました。実際に街を歩いてみても、一部繁華街だけではあるものの、人出が戻ってきている印象を受けます。とはいえ、印象で経済を語るのもおかしいですから、データに基づいて実際にはどうなのかを確認しましょう。

 経済指標だとデータが古いので、本稿ではオルタナティブデータを活用します。株式会社ジェーシービー(以下:JCB)と株式会社ナウキャスト(以下:ナウキャスト)は、匿名加工されたJCBのクレジットカードの取引データを活用して、現金も含むすべての消費動向を捉える国内消費動向指数「JCB消費NOW」を提供しています。

データにも人出の回復が反映されている

 繁華街に人出が戻ってきたことを確認するために、外食産業における消費指数を見てみましょう。緊急事態宣言が発令された4月、5月は大きく減速していますが、そこから回復傾向にあることが分かります。

8月に一時的に回復傾向が鈍化しているのは新型コロナウイルスの感染者数が増加し、第二波が訪れたことで、各自が外出を自粛したことが大きく影響したからです。

また、9月後半では回復速度が上昇しているのは、東京都が23区内の飲食店やカラオケに要請していた22時までの時短営業を解除した影響と考えられます。

 このデータに基づけば、繁華街を中心に人出が戻ってきたというのは印象論だけではなく、事実であるということが言えそうです。

居酒屋には若者が戻ってきた

 オルタナティブデータは速報性に強みがあるため、現時点で既に9月末までのデータが確認できるのですが、更新頻度の多さも強みの1つです。1か月を前後半に分けて分析したり、ば性別や年代でも区切ってデータを確認することが出来ます。

 先程は外食産業を見てみましたので、今度は居酒屋業界について見てみます。まず性別で見てみると、男性の方が居酒屋での消費が戻っていることが分かります。コロナ前は男女の消費指数の伸び率にそこまでの差がなかったことを考えると、コロナ禍で頻繁に行われた「宅飲み」が女性には定着した一方で、男性は実店舗で飲む方が好きということかもしれません。

 また、年代別で見ると、居酒屋の時短営業が終わった9月後半が顕著ですが、若者ほど居酒屋に回帰しています。やはり、新型コロナウイルスの重症リスクや死亡リスクが歳を重ねるほど高くなるというデータに基づいて、高齢な方たちほど依然として外出・外食を控えている可能性があります。

ECは必ずしも全員に普及しなかった?

 宅飲み以外にも、コロナ禍ではEC利用が急増したことが特筆すべきポイントですが、この点には何か変化が生じているのでしょうか?

グラフを見てみると、外食や居酒屋の利用が回復した9月後半にECを通じた消費が大きく減速していることが分かります。

 さらに、9月後半のECの消費指数を年代別に見てみましょう。60歳を1つの区切りとして、前年同月比での伸び率がプラスとマイナスで分かれています。コロナの感染拡大に伴い外出を自粛して自宅で過ごす時間が増えた結果、全世代でECによる消費指数はずっと伸び続けていたのですが、ついにマイナスとなる年代が出てきたのです。

 巣篭りしていてもSNSやアプリでコミュニケーションが取れる若年層に対して、高齢者はコミュニケーションがとれなくなっていた我慢が限界に来たのかもしれません。外食もするなら、実店舗で買い物もしようということなのでしょう。

巣篭りから屋外活動へ

 ただし、若い層でも行動変容が確認されます。巣篭り生活の強い味方といえば動画配信などを含むコンテンツ配信ですが、こちらはほとんどの世代で徐々に伸び率が鈍化していることが分かります。

 外で食事をしたり、娯楽を楽しむ人が増えたことで、これまでコンテンツ配信に使っていた時間が奪われていったと考えられます。

 このようにオルタナティブデータを活用すれば、なるべく現実に近い時期のデータを細かくセグメント分けして確認することが出来ます。日本ではデジタル庁の創設が話題になりましたが、ぜひ日本でも多種多様なオルタナティブデータが誕生し、経済の分析結果がより精緻になることを期待しています。

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