総務省が9月18日に発表した8月の全国消費者物価指数(CPI)は総合が前月から0.1%上昇幅を縮小し、前年同月比 +0.2%となりました。生鮮食品を除く総合は同 -0.4%、生鮮食品およびエネルギーを除く総合は同 -0.1%となっていますが、同指数がマイナスの伸び率となったのは2017年3月以来、3年5カ月ぶりのことになります。

 総務省が同時に発表している、2019年10月実施の消費税率引上げ及び幼児教育・保育無償化の影響を品目ごとに機械的に一律に調整した指数「消費税調整済指数」を見てみると、総合から順に同 -0.1%、同 -0.8%、同 -0.4%と3指数ともがマイナスとなっています。しばらくは低インフレ状態が続いていた日本経済も、ここにきて再びデフレ経済へ突入する危機にあるのです。

前回の答え合わせをしよう

 さて、前々回の記事(連載Vol.4「なぜ新型コロナで牛乳の価格は下がった?複数のデータから仮説の精度を上げる方法」)では

「Go To トラベル」キャンペーンの影響は宿泊料にどのような影響を与えるのでしょうか。旅行が促進されて、宿泊料を押し上げる効果があるのか。それとも、キャンペーンによって安く泊まれるということで、宿泊料には下押し圧力となるのか。

7月下旬から開始になっている関係上、次回の消費者物価指数から影響が出てくるはずです。せっかくですから、次回の公表までに同キャンペーンの影響について仮説を立ててみましょう。

 という文章で終わりました。前述の8月の消費者物価指数のデータには同キャンペーンの影響が反映されていますから、答え合わせをしてみましょう。

 結果は前年同月比 -32.0%と大幅なマイナスとなりました。仮に「Go To トラベル」キャンペーンがなかった場合はどうなっていたのか。同キャンペーンによる価格押し下げ効果を除いても、宿泊料は同 -7.1%だったと試算されます。ということを考えると、依然として国内旅行の需要は弱いものであることが分かります。

しばらくは国内需要だけが頼みの綱

 観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」によれば、7月に入っても外国人旅行客の宿泊数は伸びておらず、日本人による国内旅行が5月を底に徐々に回復傾向にあるだけです。

同キャンペーンの影響が反映される8月の数字がどうなるかに注目が集まりますが、まだ8月の数字が出ていないので、オルタナティブデータを活用して、少し先読みをしてみましょう。ナウキャスト社が提供している「日経CPI Now」のデータを見てみます。「日経CPI Now」は全国の食品スーパー1,200店舗のPOSデータをもとに日次の物価や売上高を算出しています。

 例えば、旅行といっても色々な種類のものがあると思いますが、キャンプやバーベキューをする場合は使い切り食器やレジャー食事用品の需要が高まります。日次売上高の推移を確認してみると、緊急事態宣言が解除されて以降は売上高が伸びていきましたが、その後は再び減少。同キャンペーンが始まる7月下旬からは再び売上高が伸びていくものの、足元では再び減少となっています。

10月から東京が対象に追加されて変化はあるか

 データだけを見ると、そこまで同キャンペーンの影響が劇的なものとなっている印象はありませんが、10月から東京も対象になることで、更に大きな後押し材料になる可能性はあります。総務省統計局が発表した人口推計によれば、2020年1月1日現在の概算値では、日本の総人口は1億2602万人です。東京都が発表した同年6月の人口は約1,400万人ですから、日本の総人口の約11%にあたる人がキャンペーンの対象に追加されることになります。

 今度は次回の記事までに、「Go To トラベル」キャンペーンの影響と、東京都の追加によって更にどのような影響が出るのか、という仮説を立ててみましょう。


ALTalkに登録して各銘柄のオルタナティブデータを見る

altalk.ai