9月8日に総務省統計局が発表した家計調査によると、7月の消費支出(二人以上世帯)は物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同月比-7.6%となりました。これで消費増税が実施された昨年の10月から10か月連続でマイナスということになります。

先月発表された6月の実質消費支出は前年同月比でマイナスとはいえ、同-1.2%と持ち直しの兆しが見えましたが、これはキャッシュレス決済のポイント還元制度が同月をもって終了となることに伴う駆け込み需要や、定額給付金が振り込まれたことによる一時的な支出の増加だったという事が分かります。

サービス支出が弱くV字回復にはならなかった

 それでは、日本人のコロナ禍における消費の全体的な動向が分かったところで、オルタナティブデータを活用して更に消費行動の変容を分析していきましょう。「JCB 消費 NOW」は、JCB グループ会員のうち、約 100 万会員のクレジットカード決済情報を基に JCB とナウキャストが算出した、現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数となります。

 オルタナティブデータの特徴としては更新頻度が多いという事が挙げられますが、この指数は毎月前半と後半でデータを確認することができます。

下図の通り、日本の消費は4月後半を底に回復傾向にあったことが分かります。

 しかし、緊急事態宣言が5月下旬に解除された当初はV字回復が期待されたものの、実際には7月に頭を打ち、その後は消費が再び減速していっていることが確認できます。

そして、何に対しての消費なのかという事を小売(財)とサービスという2つに分けてみると、明らかにサービスへの消費が全体を大きく押し下げていることが分かります。どうしても人との接触が生じたり、密な環境になる可能性もあることが避けられてしまっているのでしょう。

コロナ禍での行動変容を確認する

 通常の景気後退に伴う消費意欲の減退とは違い、コロナ禍における消費行動の変容は特殊なものであるため、細かく分析していかないとその特徴は見出すことができません。

たとえば、過去の記事ではコロナ禍において接触を避けることができる「EC」と動画配信などの「コンテンツ」配信が伸びているという事を紹介しましたが、実は更に細かく分析をすると、更に新しい事実にたどり着くことができます。

 5歳ごとに年齢を分けてみましょう。ここではビフォーコロナとして昨年の6月から9月、ウィズコロナとして今年の6月から9月のデータを比較しています。

 全体としてECの利用が伸びていることは過去の記事でも指摘した通りですが、特に注目すべきなのは65歳以降の高齢者によるEC利用率が急増していることでしょう。

日本でもDXという言葉をよく聞くようになりましたが、個人ベースでは既に全年代においてデジタルシフトが着実に起こっていると言えそうです。

コロナ禍で好調なECも購入品種によって違いがある

 また、ECと一言で言っても、ECにも売っている商品の種類にそれぞれ特徴があるため、商品によって分類して比較することも重要です。今回は「織物・衣服・身の回り品」、「飲食料品」、「医薬品・化粧品」、「機械器具」の4種類に分類してみると、ECで飲食料品を買っている人が増えていることが分かります。

これはやはりスーパーやデパート、コンビニに行くと、どうしてもレジに並んだり、店員との接触が生じてしまうためと考えられます。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大第一波にあわせて医薬品・化粧品をEC経由で買う人が増えたのに対して、その後は第二波が来ても売上高がそこまで伸びていないのを見ると、初期にマスクやガーゼ、体温計などの家庭用健康商品に需要が集中したものの、その後はマスクを筆頭に生産サイドの供給も追いついたことで、逼迫していた需給が緩和されたことが確認できます。

 このように、更新頻度が多く、内訳も商品分類や年齢別で細かく見ることができることもオルタナティブデータの強みと言えるでしょう。


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